ここでは「二足歩行ロボット」を個人で自作するまでの道のりを記していきます。
この記事を読むことで
個人でロボットを作るまでの方法
二足歩行ロボット:足の設計例
を知ることができます。
腕の設計の続きは「足の設計」ということで二足歩行ロボットの片足を設計していきます。
各パーツごとに紹介していくので、是非ロボット作りに挑戦してみましょう!
それでは始めていきますね。
二足歩行ロボットの足の機構
まずは二足歩行ロボットの足の機構を先代のロボットたちから、学んでいきたいと思います。
個人で二足歩行ロボットを自作する場合、サーボモータ購入の金額を抑えたいので、なるべく軸数が少なくても歩行ができるロボットを探しました。
はじめロボット5号機
サーボモータの数、足の軸数は大学や企業といった組織になればなるほど、6軸以上が搭載されています。
東京大学 UT-μプロジェクトの「mighty」が良い例だと思います。
ですが、個人で二足歩行ロボットを自作するとなると両足に12個のサーボモータを使うのはコスパ的にも良くないので、5軸以下で動作する「HAJIME ROBOT」さんの二足歩行ロボットを参考にしました。
その中の「はじめロボット15号機」は下図のように片足立ち+背面キックができていたため、こちらの機構を真似ることにします。
(図は HAJIME ROBOT から引用)
この機体の機構を観察すると
はじめロボットの足の軸数
股関節に2軸:roll軸、pitch軸
膝関節に1軸:pitch軸
足関節に2軸:roll軸とpitch軸
搭載されていることがわかります。
この5軸だけあれば、このようなアクロバットな動作ができるらしいので、この軸数・軸順で作成することにします。
はじめロボット18号機
続いて「はじめロボット18号機」の機構も見ていきます。
18号機も足の軸数は15号機同様で、3つのpitch軸のおかげで「くの字」に足を曲げることができます。
足を曲げた時に脛(すね)と腿(もも)が上手く曲がり、干渉しないような機構になっていることもわかります。
可動域の確保(膝:ひざ)のためにモータをどのように配置しているかも、はじめロボット18号機から真似て作成することにします。
二足歩行ロボットの足をCADで自作する
HAJIME ROBOTの小型ヒューマノイドロボット(二足歩行ロボット)から足の機構を学習したところで、実際に使用するサーボモータに合わせて足のCADを作成していきたいと思います。
ロボットの足を各パーツごとに設計する
足本体とroll軸
まずは足本体とroll軸のパーツを設計します。
体重を支える根本となる足本体ですが
足の面積を大きくし、安定性を上げる
足裏に滑り止めをつけ、制御性能を上げる
ことができるので、これらを意識して大きめの足を設計しました。
足本体には、足首のroll軸と接続できるように5点のねじ穴をあけてあります。
足首roll軸には、全体重が加わるのでできる限り強度の高い素材で作成する必要があります。
実物にしてから気づいたのですが、roll軸用のパーツと足のパーツを一つにして設計したり、roll軸部分のみを別パーツ(板状)にしてねじ止めすれば、もっと強度が上がると思います。
こんな感じ↑
こちらの機構はまた別の機会にチャレンジしてみようと思います。
足-roll軸・pitch軸の接続
次に、先ほどの足本体と足先2つのサーボモータを固定するためのパーツを作成しました。
2方向から2つのサーボモータを挟むことで固定します。
roll軸のフリーホーン側は、サーボモータ固定用パーツに固定できるような設計にしました。
基本的にサーボモータは1つの回転軸しか持たないので、フリーホーンなどでサーボアームが取り付けられるように設計すると安定感が増します。
こんな感じ↑
足(膝 ひざ):pitch軸の接続
続いて、股関節、足本体を膝関節と接続するパーツを設計していきます。
pitch軸接続用のパーツは単純な接続・設計ではなく
にする必要があります。
今回は、あらかじめ膝関節が曲がり切った状態から「への字」の接続用パーツを作成します。
そのため、二つの図面を同時に書いています。
スケッチを押し出してみると、こんな感じ↑
このpitch軸にも二足歩行ロボット全体の自重が加わるため、強度の高いアルミや密度の高いプラスチックなどで作る必要があります。
膝・腿などの足のカバー
最後に、膝・腿などの足のカバーを作成します。
カバーは正直無くても良いのですが、足に空洞があると違和感が強く、ロボットの足に見えなかったので作成をしました。
このとき、膝を曲げるときに可動域が制限されないように気を付けます。
ロボットの足をアセンブリする
各パーツの設計が終わったら、実際に片足のアセンブリを行っていきます。
少しゴツゴツしたイメージですが、足が太いほど胴体を支えやすいので良しとします。
またpitch軸が足の中心になるように、サーボの位置を調整してあります。
これは二足歩行ロボットの自重を両足でしっかりと支えるためで、pitch軸が足の前方にあると負荷が増えてパーツの損傷に繋がるからです。(回転軸の位置のこと: 前-中心-後ろ のことです。)
↑pitch軸が足の前方にある場合
またアセンブリの2つの画像を比較していただくと
ことがお分かり頂けると思います。
片足一つ作成するだけでも、考えることは多岐にわたるので、この辺りは設計の慣れが必要になってくるのではないでしょうか。
ここまで完成して、問題がなければ3Dプリンターなどで実物を作成しましょう。
以上、二足歩行ロボットの足の設計でした。
個人でロボットを自作したい方のお役に立てれば幸いです。
お疲れ様でした。